ピンクフロイドとジャケットの耳の図について
今井壮之助

はじめまして。
ネット検索して「耳には胎児の形で人体が投影している」という記述を拝見しました。
私もそう思っていましたので、とてもうれしくなりました。

私は30年前にピンク・フロイドの「Echoes」という音楽を聴いて胎内回帰をした者で
す。その曲を聴いて、かつてどこかで聴いたことがあると感じ、それがどこなのか記
憶をフィードバックしていくうちに、生まれる以前の記憶であると確信したものです。
数年前に心理学者スタニスラフ・グロフの著書によって、胎児の記憶についていろい
ろ知りました。その記憶にはいくつかの過程があり、それを一つの物語として並べる
と、その「Echoes」という24分の曲にそっくりになることに気づきました（歌詞にも
グロフ説と一致する箇所さえあります）。
ピンク・フロイドはそれ以前に「Embryo」という曲を作り、コンサートで演奏したも
のの一度も正規のアルバムには入れていませんが、「Echoes」と同じフレーズが出て
きます。「Embryo」は胎児という意味です。しかしピンク・フロイドは「Echoes」が
子宮の世界を表現したという説明はしていません。

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ジャケットA			ジャケットB

前置きが長くなりました。ところで、その「Echoes」が入っているアルバムのジャケッ
トは、巨大な耳の写真です。とはいえ、あまりに大きな耳なので、耳と気づく人は少
ないほどです。添付した写真（正方形のジャケットＡ）がそれですが、何だか分かり
ませんね。ジャケットを広げて縦にして見ると（ジャケットＢ）、誰にでも巨大な耳
と分かりますが。なぜそんな写真を使ったかは謎です。デザイナーは依頼された通り
に作ったまでで、なぜ耳なのかは理解できないと語っています。
本論はここからです。数年前、私はそのジャケットを広げて、それが胎児の形に似て
いることに気づいたのです。胎児そのものではなく凹型ですから胎児の雌型です。胎
児の雌型とはつまり胎児の部屋であった子宮です。そして、そのジャケットの耳の上
には波紋がかぶっているのですが、それは子宮の中の羊水を連想させます。

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今井壮之助著 ピンク・フロイド幻燈の中の迷宮

私は1996年、このことを中心に『ピンク・フロイド　幻燈の中の迷宮』を著述しました。
しかし「Echoes」に胎児の記憶を感じたりジャケットの耳が胎児の形であることへの
賛同はほんのわずかでした。ジャケットの耳が胎児の形に見えるなんていうのは、偶
然の一致と一笑にふされて当然でしょう。
これらすべて私の独創ですが、しかし貴サイトの「耳には胎児の形で人体が投影して
いる」という記述の発見は、まさに目からうろこでした！　その発見が東洋の言い伝
えでなくフランスの医者とのことですので、ピンク・フロイドが意図した可能性が考
えられます。またそれも単に似たように見えるという皮相なものではなく、人間の全
身が耳介にミニチュア状態で（入れ子のように）納まっているのは、実にピンク・フ
ロイド的であると感銘を受けたのです。

>　耳が単なる集音器であるならば、耳が胎児の形である必要はないでしょう。

同感です。私の著書でもこのジャケット考を延々書きましたが、似たような箇所を一
部引用しておきます。

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※１　いわゆる「耳」といわれるのは耳の外殻のこと。正確には耳殻（または耳介）
であり、その穴は耳孔という。耳殻は、音が反射されて耳孔に入りやすいような形を
している。耳孔・鼓膜を経由した内部が中耳で、聴神経が刺激されて脳に聴覚が生じ
る。中耳は迷路のような洞窟になっており、平衡感覚をつかさどる三半規管、音波を
受け聴覚をつかさどる蝸牛殻がある。「エコーズ」の歌詞にある「ラビリンス
Labyrinth」には、「迷路」「迷宮」とともに「蝸牛殻」という意もあり、なおかつ
フロイドには「The Labyrinths of Auximines」という未発表曲さえある。
耳殻の奇妙な凹凸形態に関しては、誰もが一度は不思議に思うだろう。鼻・唇・手・
足などに比べて、デザインが洗練されていないのである。ペニスとともにグロテスク
でもある。集音マイクの洗練された形態と比べると、その形態はなおさら複雑怪奇に
見えてくる。しかし、耳殻は反射された音を耳孔に伝えるだけの存在ではなかった。
音の立体感や遠近感をとらえるために、あのようなグロテスクな形に進化したのであ
る。実際、耳殻の凹凸を粘土などで埋めてしまうと、微妙な立体感が失われるという。
哺乳類は、耳殻を動かすことで音を知覚するが、人間は凹凸を得ることによって耳殻
を固定したに違いない。（『ピンク・フロイド　幻燈の中の迷宮』より）
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『幻燈の中の迷宮』の“迷宮”は「蝸牛殻」の「ラビリンス／Labyrinth」と「子宮」
に由来します。
私もピンク・フロイドのホームページがあるので、URLを記しておきます。
http://www.avis.ne.jp/~fancysc/
なお、紹介されていたポール・ノジェについてネットで調べていくうちに、それらを
もとに耳介＝胎児の形という英文ページを作ろうと決めました。
突然に長々と失礼いたしました。
今井壮之助

追伸

「耳＝さかさま胎児」のページが完成しました。英文ページと同時進行で日本語ペー
ジもできましたので、そちらをリンクしてください。

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